現場へ! 運ぶ(2)
10月下旬、成田空港(千葉県成田市)の貨物ターミナル地区。日本航空(JAL)の施設では、約2時間後に台湾へ飛び立つ貨物専用機向けの荷物の準備作業が行われていた。半導体材料が主力だが、なかには生鮮品や化粧品といった消費者向けの荷物も。日本からの輸出の最前線だ。
JALは今年2月19日、貨物専用機(ボーイング767―300BCF型、最大48トンを搭載)の運航を13年ぶりに再開した。経営破綻(はたん)後の2010年10月末で貨物専用機の運航から撤退。その後は主に旅客機の貨物室を使った運用に絞っていた。
JALカーゴサービス輸出・郵便事業部グループ長の大山広数さん(46)は、最後の日を覚えている。成田空港で最終フライトを見送った。社内でも知られる航空機好き。「寂しすぎて泣きました」
- 連載「現場へ!」
大山さんの同僚で輸出・郵便事業部マネジャーの松島俊光さん(47)もこの13年、悔しさを抱き続けてきた。旅客機の貨物室で運べる荷物には限りがある。「満載にした自社便を飛ばしたいという思いは強かった」
貨物専用機の「復活」は、事業に関わるJAL関係者の悲願だった。勢い余って、初便に載せる荷物の予約を取りすぎてしまいそうになる事態も起こった。
失われていたノウハウ
初便が飛んだ翌日の2月20…