映画「助産師たち」の一場面から。左がフラ

 ミャンマーで迫害される少数派イスラム教徒ロヒンギャと、多数派の仏教徒の2人の助産師がともに働く姿を5年にわたって記録した映画「助産師たち」(2022年、ミャンマー・カナダ・ドイツ)のスノーニンイフライン監督が今月、オンラインで取材に応じた。長引く内戦や民族対立に直面するミャンマーの人々の姿を知ることで、「日本の人たちに共感してほしい」と訴えた。

 登場するのは、西部ラカイン州の仏教徒フラとロヒンギャのニョニョという2人の助産師の女性。地区に一つの助産院で働くが、外では仏教徒たちが「テロリストのムスリムは出ていけ」と叫ぶような環境にある

 ニョニョは公立学校で学ぶことを許されないロヒンギャの子どもたちに勉強を教え、電気も上下水道も十分ではない家族の生活を支えながら貯蓄貸付組合をつくり、少しずつお金をため、新しい助産院を建てて独立する。

 フラは周囲から、ロヒンギャとの関係を断てと脅迫されながら生きている。ニョニョの行動に反発も覚えながら、その出産にも寄り添う。

 ロヒンギャの迫害は16年から激化し、これまで100万人近くが国を追われ、何万もの人々が殺されたと映画は説明する。ラカイン州で生まれ、最大都市ヤンゴンで育ち、現在ドイツで暮らす監督は、「いま私たちもロヒンギャと同じ状況に置かれている。ミャンマー全土が国軍に破壊され、多くの人が殺されている。映画製作を通じて、国軍が非人道的なやり方ですべての民族グループを迫害してきたことに気づいた」と話す。

 国軍によるクーデターは映画…

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