玉野光南―関西 五回表玉野光南、小合の中犠飛で三塁走者赤沢が生還し3点目が入る。捕手伊勢田=2024年4月28日、マスカット、大野宏撮影
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 春季岡山県高校野球大会(県高野連主催)の準決勝が28日、倉敷市のマスカットスタジアムであり、倉敷商と玉野光南が決勝に進んだ。

 倉敷商は八回に6点を挙げて岡山理大付を逆転、春は2021年以来の決勝進出を決めた。

 玉野光南は四回に本塁打で勝ち越し、4投手の継投で関西の追い上げをかわした。準優勝した昨春に続き、2年連続の決勝進出となった。

 決勝は5月3日午前10時から同球場である。

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 押し出し四球で1点を勝ち越した直後の八回2死満塁。倉敷商の大坪樹(3年)はセオリー通り初球を狙った。「とにかくフルスイング。ホームランを打ってやろうという気持ちでした」。打球は深々と右中間を破り、走者を一掃。直後の九回、自ら築いたリードを自身の投球で守り抜いた。

 投手としては1年時から登板していた同期の和田虎之介と増田勝利に後れを取り、昨年の夏はベンチ入りできなかった。秋の県大会は背番号「7」の外野手として4番を打ち、救援登板もした。ただ「最後の夏は絶対『1』を取ってやる」と、自宅近くの坂道を走り込むなどして球速を平均140キロ台にアップ。今春はエースナンバーを背負う。

 「最初は勝てないと思ったけど、和田と増田がいたから今がある。でも、譲るつもりはありません」。この日最後に、自己最速を更新する145キロをマークした。

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 同点の四回無死、玉野光南の4番牧野卓人(3年)への3球目は内角チェンジアップ。「まっすぐのタイミングで待ってましたけど、変化球は得意なんで対応できました」。すくい上げた打球は右翼席まで伸びた。「気持ちよかったです」。満面の笑みで塁を回った。今春から導入された新基準の低反発バットによる、マスカットスタジアムでの高校生第1号本塁打となった。

 新チームから4番を任されている。「自分の持ち味は思いっきり振ることなのに、力が入ることが多かった。楽しむことを考えて、力が抜けたのかもしれません」

 「あんな奥まで飛ぶとは思わんかった。まぐれでしょう」と笑う田野昌平監督も「勝負強くなってきて、安心して4番を任せられる」と信頼を寄せる。

 昨春の県大会は準優勝、一昨年春も準決勝まで進んだが、夏の甲子園には届かなかった。田野監督は「春の4強で安心しとったら夏は取れん。一回、取りきっとかんとね」。(大野宏)

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