(17日、第107回全国高校野球選手権東東京大会3回戦、関東第一5―1城西)
この春に高校日本代表候補に選ばれた関東第一の二刀流、坂本慎太郎(3年)が、打っては4安打に1盗塁、投げては今大会チーム初となる1失点完投で、4回戦進出に導いた。
- 奇跡のバックホームは「偶然」だった 関東第一の監督が振り返る理由
坂本は序盤から変化球主体のテンポのいい投球で、チームに主導権を引き寄せた。九回は2死一、二塁のピンチ。本塁打が出れば1点差に詰め寄られる場面だったが、昨夏の甲子園でも先発登板した強心臓っぷりは健在だった。この日11個目の三振を変化球で奪って試合を終わらせ、「九回が一番楽しかった」「100点に近い投球」と振り返った。
攻撃でも起点になった。三回裏の無死一、二塁の好機では意表を突くセーフティーバントで悪送球を誘い、先取点を呼び込んだ。
同点の六回は安打で出塁すると、「手堅くいっても厳しい」と考えた米沢貴光監督からのサインに応えて二盗に成功。直後に4番の越後駿祐(3年)の適時打で生還して勝ち越しのホームを踏んだ。
七回は初球を引っ張ってソロ本塁打。大車輪の活躍に、「あれが彼の中での普通」と米沢監督。淡々とした言葉の裏に、坂本への信頼を込めた。
昨夏の甲子園で準優勝した関東第一。主力に越後や坂本が残るが、選抜大会出場を逃した上、今春は初戦で敗退し、この夏の大会をノーシードで臨む。
米沢監督は、夏の舞台を一番の成長の機会と捉えてチームを作ってきた。坂本頼みにならなければ、連覇は見えてくる。