Smiley face
写真・図版
東京高裁が入る庁舎=東京都千代田区

 昨年10月に投開票された衆院選は「投票価値の平等」を定める憲法に反するなどとして、二つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟で、東京高裁は13日にあった2件の判決でいずれも「合憲」と判断し、選挙無効の請求を棄却した。原告側は上告する。

 全国14高裁・支部に起こされた一連の訴訟では、広島高裁岡山支部、広島高裁、札幌高裁、大阪高裁がいずれも「合憲」と判断している。

  • 始まりは1人だった 「一票の格差訴訟」半世紀の闘いが選挙を変えた
  • 法律が「憲法違反」ってどういうこと? 同性婚めぐる裁判で焦点に

 昨年の衆院選では一票の格差を縮めるため、2020年の国勢調査に基づき15都県で選挙区を「10増10減」する区割り変更が実施されたが、格差が2倍を超える選挙区が10あった。有権者が最も多い北海道3区(約46万1千人)は、最も少なかった鳥取1区(約22万4千人)の2・06倍だった。一票の価値は0.5票に満たないといえる。

 鹿子木康裁判長は、新たな区割り制度は選挙制度の安定性をふまえ、格差を是正しようとするもので「合理性がある」と判断。増田稔裁判長は、格差について「自然な人口異動以外の要因はうかがえず、その程度も著しいとはいえない」と指摘。2件とも「投票価値の平等に反した状態とはいえない」と結論づけた。

 判決後に会見した三竿径彦(みさおみちひこ)弁護士は「国会議員は一人一票を持っているが、その重みがばらばらだったら国会の多数決に意味はあるのか、疑問だ」と語った。別のグループの升永英俊弁護士は「国会には、選挙制度について合理的な範囲内で立法裁量があるという大前提がずっと続いてきた。きょうの判決は完敗だが、最高裁でしっかり主張すれば勝てる」と話した。

共有