(9日、第106回全国高校野球選手権滋賀大会1回戦 草津6―3彦根総合)
草津の選手たちが校歌を歌うなか、彦根総合の秋山昌広主将(3年)はベンチ前で整列しながら天を仰いで泣いた。「みんなで野球をまだやる予定だった。校歌を1回は歌いたかった」
部員が多く競争の激しいチームで1年生の秋からレギュラー。昨春の選抜大会も経験した。プレーだけでなく、「目配り、気配り、心配りがチームで1番できる」と宮崎裕也監督も信頼を寄せた。
今春からはチームの一体感を高めるため、練習後にみんなで歌うことなどを始めた。3年生の中には、甲子園の舞台に立てなかった仲間もいる。「みんなを絶対に甲子園に連れていかないといけない」。そんな強い気持ちで今大会に臨んだ。
草津には、昨秋の県大会でコールド勝ちしていた。相手は「奇跡を起こす」とリベンジに燃えていた。この日は雨で2回にわたり中断。集中力を保つのが難しい試合だった。
秋山主将は六回に安打で出塁し、同点に追いつくホームを踏んだ。外野の守備位置からも仲間たちに声をかけ続けた。
「最後の夏」はまさかの初戦敗退。宮崎監督は「技術がなかった。3年生にはご苦労さんと言いたい」。秋山主将は、マウンドに立った2年生らに「みんなを引っ張って、信用される選手になってほしい」と託した。(仲程雄平)