(5日、春季兵庫県高校野球大会 東洋大姫路10―0明石商)
「自分で終わらせたかった」。勝ってなお顔に悔しさがにじんでいた。
準決勝の先発マウンドに立った東洋大姫路の背番号10西垣虎太郎投手(3年)は、明石商相手に四回まで内野安打1本と球に力がのっていた。
今大会前、昨秋の近畿王者の原動力となった阪下漣投手(3年)がけがで離脱。「阪下に頼りきっていた。他の投手が独り立ちしないといけない」と意気込んでいたからだ。
だが、無失点で迎えた五回。先頭打者に直球を痛打され、マウンドを譲った。「ストライクがほしくて真ん中に入ってしまった」
昨秋までは外野手だった。秋季県大会や近畿大会を勝ち抜く野手陣のレベルの高さに投手転向を決めた。冬には球速や回転数などが表示される分析機器「ラプソード」を使いながら投げ込み、球質の向上に取り組んできた。
岡田龍生監督は、「抑えるべきポイントなど勝負勘が夏は大事になってくる。経験値が足りていない。(西垣投手には)頭の使える投手になってほしい」と期待する。
西垣投手は、「まだまだ阪下に及ばない。けど、夏までには一人で投げきれるようにしたい」。今はまだ、成長の途中だ。