愛知県大府市は、昭和から平成にかけて、当時の祭りや町並みを記録した庁内のビデオテープ334本をすべてデジタル化した。歴史的価値のある郷土の映像を後世に残すため。一部を市の公式ウェブサイトで今月から公開を始めた。
市は、ケーブルテレビで流した市の広報番組などを納めたVHSのビデオテープ計334本持っている。1980年~2010年に撮影された。
ビデオテープを巡っては、再生機器(デッキ)の販売と保守サービスの終了に伴い、いずれ見られなくなると危惧されている。いわゆる「2025年問題」で、市は昨年9月から所蔵するテープのデジタル化作業を始め、このほど終了した。
うち市制施行を節目で祝った10周年(1980年)~30周年(2000年)の4本の記念映像については、市のウェブサイトにあるユーチューブで一般公開した。1本あたり25分程度。
このほか広報番組など16本については、市立図書館アローブで、DVDで視聴できるようにした。
視聴できる計20本の映像には、どぶろくまつり、地区の盆踊りなど祭礼や伝統行事、運動会が登場。建物がまだまばらな40年以上前の旧国鉄・大府駅前、05年の愛知万博へ出展した際の様子などもある。92年バルセロナ五輪の柔道男子78キロ級金メダリスト吉田秀彦さん(同市出身)の祝勝パレードも映っている。
すべて公開しなかった理由は、映像の状態が悪かったほか、インタビューなどで個人が特定されるおそれがあったり、著作権上の問題が生じるおそれがあると判断したりしたためだ。市職員はすべて視聴することができる。市企画広報戦略課の担当者は「何かあった時に過去を振り返り、参考にする際の貴重な資料となる」と話している。
市は庁内に保管されていた1960年代末からフィルムカメラで撮影された写真のデジタル化も進めている。計90枚については現在、市のウェブサイトにある「デジタルフォトブック」内の「あの日の情景」で見られる。
視聴、閲覧は市ウェブサイト(https://www.city.obu.aichi.jp/shisei/koho/1026509/1032875.html