大阪・関西万博のフィリピン館の前で、来場者に話しかける原田義孝さん=2025年5月7日午後1時15分、大阪市此花区、吉川喬撮影

夢洲から

 家族と休日に大阪・関西万博のフィリピン館を訪れた。入館の列は長い。待ち時間を覚悟した。

 そんな時、陽気に話しかけてくれる人が。

 「フィリピンは女性活躍が進んでいる」「高齢者を大事にしてくれる」

 豆知識も織り交ぜながらの軽快なトーク。気付けば時間が過ぎていた。

 話しかけてくれたのは、人を喜ばせることが大好きなスタッフの原田義孝さん(81)だ。20歳の時に見に行った東京五輪の会場で、偶然知り合った関係者のはからいで選手村に招待された。思わぬ喜び。その時、自分もこんな風に誰かを喜ばせる生き方をしたいと思ったのだという。

 1970年大阪万博でアメリカ館のスタッフを経験。30代で海外旅行のガイドになり、いまは国内で外国人向けの観光ガイドを務める。

 旅を楽しむ人の手助けは、まさに望んだ生き方だ。「誰かを喜ばせるのは1度で2度おいしい。相手が喜び、その様子を見た自分もうれしくなる」という。

 そして、お気に入りの渡航先がフィリピン。温暖な気候と、現地の人の温かさにほれこみ、30回以上も訪ねた。

 貧しい子どもに生活費や学費の支援を申し出てきたのもまた、望んだ生き方。育てたフィリピンの「子ども」が9人いるという。

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 世界中の人々が集まり、連日多彩なイベントが開かれる大阪・関西万博。会場の夢洲(ゆめしま)で取材に駆け回る記者たちが、日々のできごとや感じた悲喜こもごもを伝えます。

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