前橋中学(現・県立前橋高校)出身の文筆家、平井晩村(1884~1919)の生き様を描いた朗読劇に、同校演劇部の生徒らが出演する。35年の短い生涯を駆け抜けた晩村。「懸命に生きた姿を伝えたい」と生徒たちは意気込んでいる。
晩村の生誕140年記念展が開かれている前橋文学館が企画した。同校1年で演劇部の井田雄己さん(16)が晩村の兄・喜代作と晩村の次男、小林文明さん(16)が少年期の晩村と晩村の長男役と、一人二役に挑戦する。アマチュア劇団「ザ・マルク・シアター」の俳優ら7人も出演し、2人をリードしながら作品を作り上げる。
晩村は前橋市の裕福な造り酒屋に生まれ、大学卒業後は報知新聞社の記者をしながら詩や小説を発表した。幼くして父を、結婚9年半で妻を亡くすなど「別れ」も多かった。「いろんなことが降りかかり、幸せになれない人生だった」と脚本と演出を担当した同劇団主宰の生方保光さん。作品のタイトル「誠実と不条理」の通り、「誠実に生きた晩村の人生を掘り起こしたい」と話す。
同館企画のリーディングシアターに高校生が出演するのは初めて。井田さんは「人物の姿を鮮明に描き出したい」、小林さんは「風流と風情を心得て、一生懸命頑張ります」と舞台に臨む。
朗読劇には同校の応援団5人も参加し、晩村が作詞した同校の校歌を歌うという演出もあるそうだ。12日午前11時、午後2時の2回。無料。先着80人。申し込みは同館(027・235・8011)。