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浦和実―智弁和歌山 試合後、決勝進出を決め、アルプス席へ駆け出す智弁和歌山の選手たち=白井伸洋撮影
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 ついに頂点へ、あと1勝――。第97回選抜高校野球大会に出場している智弁和歌山は、28日の準決勝で浦和実(埼玉)と対戦し、5―0で快勝した。好調な打線は、4試合連続となる先取点を挙げ、試合を優位に進めた。投手陣も渡辺颯人、宮口龍斗の両投手のリレーで相手打線を零封した。決勝は30日午後0時30分から。昨秋の明治神宮大会を制した横浜と対戦する。

 「100点満点で、きょうは20点」。先発の渡辺颯人投手(3年)からの継投で六回から登板した宮口龍斗投手(3年)は試合を振り返った。

 5イニングを被安打3の無失点に抑えた渡辺投手。三回に打球が足に当たったことや、点差が開いていたこともあるが、「リリーフに宮口投手」は、いつものパターンだ。試合前にも中谷仁監督に「点差があれば登板させる」と言われた。心の準備はできているつもりだった。

 しかしこの日は、制球が定まらない。先頭打者こそ内野ゴロに仕留めたが、続く打者に四球を与え、さらに安打を浴びて走者を二塁まで進めてしまった。

 三振を奪い無失点で締めたが、七回は内野安打の走者がいる場面で、バント処理の球を捕り損ねてしまう。

 「併殺にしようと焦ってしまった」。八回には左中間を破る二塁打を浴び、九回にも安打を打たれ安定しなかった。「結果として勝ち切れたのでよかった」。完封リレーを成功させ、胸をなで下ろした。

 150キロ台の速球が武器だ。昨秋の近畿地区大会県予選決勝では152キロをマークした。

 ただ、選抜大会では「球速も大事だけど、何より抑えることが大事」。山田凜虎捕手(2年)が構えるミットを目指し、スライダーなどを投げ込んで、コントロール重視での投球を心掛けている。

 受ける山田凜捕手は「この試合は確かにコントロールは悪かったけど、大会を通じて調子は上がっている。力を引き出せるように、僕もリードしていきたい」と話した。

 とうとう、ここまできた。それでも全選手は「目の前の試合、目の前の打者に対し、きちんと向き合う。とにかく、自分ができることをきちんとやる」ときっぱり言う。

 もちろん宮口投手も。「あとひと試合しかない。相手は強豪だけど、自分が思っている投球をもう一度出して優勝したい」。最後に「満点」を目指す。

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