(25日、第97回選抜高校野球大会2回戦 智弁和歌山9―4エナジックスポーツ)
はじき返すというより、はね返ったような。四回、智弁和歌山の7番、大谷魁亜(かいあ)二塁手の当てた打球が右前に転がった。「逆方向を徹底し、単打でつなぐ」。この日2本目の適時打は理想の打撃だった。
バットは拳1個分以上短く持つ。重くてスイングがしづらいからだ。金属より300グラム重い1200グラムで、ちょっと太めの木製バット。不振にあえいでいた昨年の夏前、プロ時代に同種のバットを使っていたという中谷仁監督に勧められた。
175センチ、72キロ。パワーヒッターではないと自覚している。でも、重くて太い今の木製バットなら、「芯に当たれば飛んでいってくれる」。
打力の物足りなさを道具の特性でカバーする。これが自分の生きる道だ。夜、素振りを繰り返し、筋トレに励んだ。腕は筋肉痛になったが、「(球を)振り抜くより、ぶつける」イメージが体になじんできた。
元々、内野守備には自信がある。「強打の智弁」では7番の下位打者だけど、この「相棒」に出会ってから打撃でも貢献できている実感がある。監督の言う「脇役の一流」をめざすのも、悪くない。
▼智弁和歌山の勝利で近畿勢が11大会連続の8強入り 近畿勢が準々決勝に進めなかったのは第85回(2013年)が最後(コロナ禍で中止になった20年の92回を除く)。この時は浦和学院(埼玉)が初優勝した。