国が公立中学校の部活動の地域移行を推進する中、無視できないのが、学校外でスポーツを教える指導者の質の担保だ。スポーツにおける暴力・ハラスメントの問題に詳しい明治大の高峰修教授(スポーツ社会学)に、課題と対策について聞いた。
――部活動の地域クラブ化が進んだ時、暴力やハラスメントを防ぐ点から、どんなことが懸念されますか。
「日本のスポーツ指導の場で、体罰という名前の暴力、暴言は以前から続く課題です。それを解決するための制度が整わないうちに、部活動の地域移行が始まってしまった。反暴力・反ハラスメントの点では、さらに対策がとれない状況になりかねません」
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公立中学校の部活動はどうなるのか。朝日新聞では、地域移行をはじめとする部活動改革の取材を続けていきます。知りたいことや疑問に思うこと、課題と感じていることなどがありましたら、[email protected]までお寄せください。
――具体的にどういうことでしょうか。
「学校の先生たちも暴力的指導の問題は起こしてきましたが、基本的には大学で教職課程をとり、教員採用試験に合格してきた人たちで、公立校は教育委員会の管理下にあります。教育のトレーニングについて、それなりの手順を踏んだうえで部活動をみており、とりあえずは反暴力・反ハラスメントについても身につけていると言えます。そうした条件が、学校外になるとまったくなくなります。『そんな話は聞いたことがない』という大人が子どもたちを指導するかもしれません。日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者資格や、地域の競技団体の研修など、指導者を養成するシステムがないわけではありませんが、現状ではその資格がなくても地域で指導できる。部活動の諸問題を踏まえれば、地域移行はせざるを得ないと思いますが、指導者の質の向上の部分で、きめ細かな対応が必要です」
――地域スポーツにおいて…