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政労使会議で発言する石破茂首相(中央)=2025年5月22日午後6時43分、首相官邸、岩下毅撮影
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 政府は22日の政労使会議で、最低賃金を全国平均で「2020年代1500円」にする目標に向け、企業の生産性向上策など総合的な施策を示した。ただ、過去最高の上げ幅だった昨年の5.1%増を超える目標に、人件費高騰に頭を抱える使用者側は「実現不可能」と突き放しており、目標達成の道筋は険しいままだ。

 この日、首相官邸であった会議で、石破茂首相は「実質賃金で1%程度の上昇を新たな水準の社会通念として定着させる」と宣言し、最低賃金の「全国平均1500円」の実現に意欲を示した。

 会議では、中小企業の業種別の対策を示した「賃金向上推進5カ年計画」を政府が説明。人材不足が深刻で、最低賃金の影響を受けやすい飲食業などの12業種では、業種ごとに労働生産性について数値目標を設定し、ロボットなどへの省力化投資を国が支援する。

 医療や介護、保育など、公定価格が定まっている業種では「公定価格の引き上げ」を掲げ、最低賃金の引き上げにつながる環境整備に取り組む姿勢を示した。

 公共事業などの官公需でも、最低賃金の引き上げに対応できるような仕組みを導入。自治体の入札などでは、物価や最低賃金が上がっても、取引価格を引き上げられないことが多かったが、「国などと自治体の双方が必要となる予算を確保する」とした。

 政府は、こうした総合的な取り組みを通じて、目標を実現させたい考えだが、ハードルは高い。

■経済界の反応は冷ややか…

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