米国務省は12日、北朝鮮兵がウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア南西部・クルスク州で戦闘を始めたと確認しました。韓国陸軍第5砲兵旅団作戦将校を務め、北朝鮮の軍事情勢に詳しい、韓国の市民団体「自主国防ネットワーク」の李逸雨(イイルウ)事務局長は、北朝鮮兵はロシア軍部隊の「弾よけ」として前線に配置され、「多くの北朝鮮兵は現代戦を学ぶ暇もなく戦死するだろう」と予測します。なぜでしょうか。
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――北朝鮮は総兵力134万とも言われます。
公式の数値はそうですが、大多数は戦闘能力を持たない兵士だとみています。食料や装備が不足しているため、軍に所属していても訓練しない兵士が数多くいます。脱北した元北朝鮮軍兵士は「戦車部隊に配属されたが、戦車を見たことはなかった」と証言しています。大部分の兵士は建設現場や農作業に動員されているのです。
韓国の国防白書は、北朝鮮が20万人の特殊部隊を保有していると報告しています。最低限、戦闘能力を持った兵士が20万人いるという意味でもあります。
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