広島電鉄が9日、米軍が広島に原爆を落とした3日後に路面電車の一部区間を復旧したことにちなみ、被爆電車の156号を特別運行した。本線を走るのは5年ぶりで、被爆80年を機に企画した。
1945年8月6日の原爆投下で、広島電鉄は車両123両のうち108両が被災。すぐに復旧作業に着手し、9日には現在の広島市西区の己斐~西天満町の約1.5キロで運行を再開した。156号は当時、江波付近にあり、中破した車両。広電の被爆電車4両の中では最も古い1925年製で、71年まで現役だった。
この日は千田車庫を出発して江波車庫まで、最初に復旧した区間を含む約13.8キロを乗客なしで走った。運転士を務めた小椋伸哉さん(24)は「被爆の証人としてこれからも末永く走ってほしい」と話した。