原爆ドーム前を走る被爆電車の156号=2025年8月9日午前7時57分、広島市中区大手町1丁目、柳川迅撮影

 広島電鉄が9日、米軍が広島に原爆を落とした3日後に路面電車の一部区間を復旧したことにちなみ、被爆電車の156号を特別運行した。本線を走るのは5年ぶりで、被爆80年を機に企画した。

 1945年8月6日の原爆投下で、広島電鉄は車両123両のうち108両が被災。すぐに復旧作業に着手し、9日には現在の広島市西区の己斐~西天満町の約1.5キロで運行を再開した。156号は当時、江波付近にあり、中破した車両。広電の被爆電車4両の中では最も古い1925年製で、71年まで現役だった。

江波停留場では多くの人がカメラを構え、被爆電車を撮影した=2025年8月9日午前9時24分、広島市中区江波西1丁目、柳川迅撮影

 この日は千田車庫を出発して江波車庫まで、最初に復旧した区間を含む約13.8キロを乗客なしで走った。運転士を務めた小椋伸哉さん(24)は「被爆の証人としてこれからも末永く走ってほしい」と話した。

被爆電車156号の車内=2025年8月9日午前9時54分、広島市中区江波西1丁目、柳川迅撮影

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