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【ニュートンから】AIは半導体で進化する(1)

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AIは半導体で進化する

 高性能なAI(人工知能)を実現するためには,高性能な半導体が不可欠である。現在,AIの処理には,画像処理用の半導体である「GPU」が広く利用されている。最先端のAIが要求する膨大な計算量を処理するため,GPUを進化させたAIチップの開発が進んでいる。AIの進化に対して,半導体はどのように進化しているのか。そして,半導体の進化は,AIの進化にどのような影響をあたえるのだろうか。

 利用者の要望に応じて新しい文章やイラストなどをつくりだしてくれる「生成AI」の利用が世界中で広がっている。文章を生成してくれるOpenAIの「チャットGPT」は,日本でも人気の生成AIの一つだ。アップルの「シリ」やグーグルの「ジェミニ」,アマゾンの「アマゾンアレクサ」などのAIアシスタントを日常的に使っている人も多いだろう。

 そのようなAIの進化を裏で支えてきたのが「半導体」だ。近年のAIは,その性能を発揮するために膨大な計算量を必要としている。膨大な計算量を短時間で処理するためには,高性能なコンピューターが必要だ。コンピューターの性能は,その中に搭載されている半導体の性能が決めるといってもよい。すなわち,高性能なAIは,高性能な半導体なしには実現できないのである。

半導体、LEDや冷蔵庫のセンターにも

 そもそも「半導体」とは,金や銅などの「導体」と,ゴムなどの「絶縁体」の中間的な電気の通しやすさをもつ物質のことだ。代表的な半導体は,ケイ素(シリコン)やゲルマニウムである。

 最近では,半導体でつくられた電子部品,すなわち「半導体デバイス」のことを指して,「半導体」とよぶことが多い。「次世代半導体の開発」や「半導体製造工場を新たに建設」などとニュースで報じられるときは,物質としての半導体ではなく,半導体デバイスのことを指している。

 ひとくちに半導体デバイスといっても,その種類は実に幅広い。スマートフォンやパソコンの頭脳として使われている「CPU(中央処理装置)」は,現代の代表的な半導体デバイスの一つだ。また,照明として広く使われている「LED(発光ダイオード)」も半導体デバイスであり,炊飯器や冷蔵庫に入っている「温度センサー」も半導体デバイスだ。現代では,電気を使うあらゆる製品に半導体デバイスが使われているといってよい。

 AIの需要の高まりにともな…

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