荘厳な音楽と洗練された照明に彩られ、麻雀(マージャン)のプロリーグ「Mリーグ」の選手たちが入場してきた。

 今年3月末、東京ドームシティホール(東京都文京区)。パブリックビューイングに集まった2千人の観客が両手に持ったバルーンを打ち鳴らし、割れんばかりの大歓声が会場中に響く。一身にスポットライトを浴びた選手は歓声に応えて笑顔で手を振り、壇上に立つ。Mリーグでは、もはや見慣れるようになった光景だ。

 Mリーグの前身となった「RTDリーグ」の運営の中心を担い、現在はMリーグで審判を務める張敏賢さん(51)。今の麻雀プロの環境を「夢のまた夢のよう。想像できないほどのプレッシャーだろうが、やりがいもあるだろう」と目を細めると、斜め上を向いて今度は少し悔しそうに続けた。

 「自分のいる環境をそうしたかったというのが本当のところで、そこはずれてしまった。でも、良かったのかな」

かつて「最高で最強」のトッププロだった張敏賢さん。暗い部屋に山積みのままになった牌譜、結婚をためらうような収入……。環境を変えようと始めた活動が、Mリーグの礎になっていく様子を描きます。

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 タイトルを何度取っても何も…

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