裁判所のウェブサイトに掲載された最高裁判例に、実際の判決や決定の内容と異なる記載が計2568件見つかったことを最高裁が15日、明らかにした。判決の意味や内容に影響するような誤りはなかったという。
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最高裁は、報道機関からの指摘を受け2021年に調査を開始。1948~2016年までに大法廷が言い渡した計855件の判決や決定を調べた。
この日公表した調査報告書によると、多かったのは、誤字脱字など(1310件)や、句読点や条文、人名などの誤り(887件)。正しい内容が文脈から推測できるものの、誤った表現が使われたケースもあった。誤りは1960年代までに集中し、01年以降は5件だった。
重要な司法判断を掲載する「判例集」でも同様の誤りがあったが、判決の趣旨に影響はなかったとした。
ウェブサイトに掲載するデータは外部の業者が1999年まで作成していたが、判決などの文書をデータにするスキャンの精度が高くなかったことで誤りが生じ、裁判所のチェック体制も不十分だった可能性があるという。現在は、外部業者に委託せず、最高裁内部でデータを作っている。
最高裁は、今後ウェブサイトや判例集で誤りが見つかった場合は、その都度、訂正すると説明。「裁判所ウェブサイトや判例集への信頼を損ないかねず、重く受け止めている」とした。