「戦争柄」の子ども用の着物。中国大陸の地図や軍艦、戦闘機などが見て取れる=2025年7月8日午前11時47分、東京都渋谷区、友永翔大撮影

 人々の装いから戦中戦後の暮らしを考える企画展「戦後80年企画 衣服が語る戦争」が、文化学園服飾博物館(東京都渋谷区)で16日から始まる。日清、日露戦争から1945年の終戦までの約50年を、服や雑誌など約200点の資料でたどる。9月20日まで。

 展示品からは戦争に翻弄(ほんろう)された人々の姿が浮かぶ。37年に始まった日中戦争の前後には、大人の軍服を精巧に再現した子ども用の晴れ着や、軍艦や戦闘機などを描いた「戦争柄」と呼ばれる着物が作られた。戦争への熱気が流行に現れたもの、とみられている。

 戦争が長引くと、節約や代用品が推奨されるように。輸入できない繊維原料に代わって、質の悪い素材で服が作られるようになったほか、金属製のボタンは陶器製になったり、着物がもんぺに作り替えられたりした。物資不足は終戦後も続き、今度は軍服を背広風に仕立て直したカーキー色の服が現れる。

 企画した同館の村上佳代学芸室長(54)は「展示品はどれも、戦争の結末を知らない状況で作られた。当時の人々の感情や暮らしを思いつつ、現在のことも考えて欲しい」と話す。

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