日本郵便のトラック。国土交通省は同社の一般貨物自動車の事業許可を取り消す方針だ=2025年6月4日、東京都港区、西岡臣撮影

 日本新聞協会は3日、優れた報道に贈られる2025年度の新聞協会賞を発表し、朝日新聞社の「日本郵便による不当に高額な違約金や不適切点呼をめぐる一連の特報」(社会部日本郵便取材班)がニュース部門で選ばれた。朝日新聞社の受賞は2年連続。10月15日に東京都千代田区で開かれる新聞大会で授賞式がある。

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 朝日新聞は25年1月6日付朝刊1面トップで「日本郵便 下請けから違約金 誤配・苦情時 公取委『高額は違法』」と特報。関東の郵便局による委託業者からの不当な違約金徴収を、公正取引委員会が日本郵便の下請法違反と認定し、同程度の違約金徴収が他地域でも行われていたことを明らかにした。取材申し入れ後に同社が違約金を繰り返し減額したことも独自に報じた。

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  • 日本郵便、貨物法違反疑い 不適切点呼、国が処分検討 運送に影響も

 3月11日付朝刊1面「日本郵便、貨物法違反か 不適切点呼 国交省、処分検討」では、配送車の運転手に飲酒の有無などを確認する法定の点呼が適切に行われず、点呼記録が虚偽記載されていた実態を特報した。点呼を受けずに乗務した運転手による飲酒運転の発生なども報じた。

 新聞協会は授賞理由で、「公取委の指導後も半年間改善されなかった違約金基準が取材申し入れを機に改められた」、不適切点呼の問題では「国土交通省が運送事業許可を取り消し、トラックなどが5年間使用できなくなるなど、一連の報道は社会に大きな影響を与えた」と指摘。「国民生活に深く関わる巨大な公益事業体で横行する不正を明らかにし、その是正に寄与した調査報道」と評した。

 その他の受賞と、あわせて発表された新聞技術賞は次の通り。

(ニュース部門)信濃毎日新聞社 長野県石油商業組合「ガソリン価格カルテル疑惑」を巡る一連のスクープ

(写真・映像ニュース部門)北海道新聞社 「JR貨物脱線事故 破断した腐食レール」のスクープ写真

(写真・映像企画部門)中国新聞社 写真連載「里海の今」

(企画部門)神戸新聞社 阪神・淡路大震災30年報道▽中国新聞社 被爆80年企画「ヒロシマ ドキュメント」▽日本放送協会 NHKスペシャル「オンラインカジノ 〝人間操作〟の正体」

【新聞技術賞】日本経済新聞社 Ask!NIKKEI「広く、深く、早く知る。」ニュースに新たな価値を

  • 日本新聞協会が発表した各賞

新聞広告大賞、アサヒビールの「47都道府県おつかれ生新聞」

 日本新聞協会は3日、第45回新聞広告賞を決めた。新聞広告大賞には、アサヒビールの「47都道府県おつかれ生新聞」が選ばれた。このほか、2部門計11件が新聞広告賞や特別賞を受賞した。

 【広告主部門】

 新聞広告賞 栗山米菓「ばかくやしい甘口カレー味完全終了」▽講談社「スキップとローファーと能登」▽シャボン玉石けん「シャボン玉石けん50周年 舌で出来具合を確かめる。食品ではありません。石けんの話です。」▽タイガー魔法瓶「『魔法のかまどごはん』防災の日」▽有楽製菓「ブラックサンダーの恩返し」

 【新聞社企画・マーケティング部門】

 新聞広告賞 産経新聞東京本社「フェムケアプロジェクト2024―2025 国際男性デー『ぼくたちはどう生きるか』国際女性デー『半径5mの世界を変える!』」▽北海道新聞社「北海道フードフィルムフェスティバル」▽秋田魁新報社「あきた弁博特集 帰ってきたアキタベン―あきた弁企業かるた―」▽信濃毎日新聞社「りんごと脱炭素社会Go!ゼロカーボン!」▽新潟日報社「『佐渡島の金山』世界遺産登録推進キャンペーン SADOプライド」

 特別賞 秋田魁新報社「特集号『読者とつくる昭和100年新聞』」

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