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写真・図版
朝日歌壇選者の(左から)永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん=東京都中央区、小林一茂撮影

 1月12日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、馬場あき子さんです。☆は共選作です。

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佐佐木幸綱選

 認知症の人の発するありがとうヘルパー吾の魂(こん)を揺さぶる(横浜市)山本美智子

 ケータイの音に怒りて高座降り再び上がる師匠への拍手(羽曳野市)玉田 一成

 ケアマネの更新研修それぞれが僅かな合間に仕事の電話(横浜市)桑田よし子

 「道草をするな」と今日も声かけて黄色い旗のおじさんとなる(厚木市)北村 純一

 玄関はあの中央分離帯のあたり上書きされた実家を探す(土浦市)原田 啓子

 四匹の猫が並んで出迎えてくれる「癒し課」のある出版社(東京都)村上ちえ子

 天井を列車が走る居酒屋で過去を肴にコップ酒呑む(西条市)村上 敏之

 桜咲く木にもおとらぬ光もて樹氷は朝のくれなゐに立つ(札幌市)木下 澄子

 青空に金魚のような赤いヘリ黄色の銀杏を飛び越え現場へ(東京都)木村 美夏

☆子の図鑑虫干しすれば三十年閉じし頁が深き息する(長崎県)稲垣 妙子

 【評】第一首、作者は認知症の人を介護するヘルパー。久々に聞いた「ありがとう」なのだろう。第二首、わざわざ高座をおりて客席に怒鳴り込んだ落語家。結句がその場の空気を表現して、うまい。第三首、ケアマネはみな忙しいのだ。

高野公彦選

 人はみな地球に家を借りてい…

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