4月13日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、川野里子さんです。☆は共選作です。
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佐佐木幸綱選
転勤がなければこの地で続いていた暮らしも箱に詰めて封する(東京都)岡田真理子
三十年続いた会の別れぎわ最後の集合写真の寡黙(光市)松本 進
「来てくれてありがとう」とか犬の名とか樹木葬の自由な墓石(東京都)上田 結香
雉子(きじ)走る頭を上げて首伸べて茂みに隠る気配を殺す(埼玉県)吉川 英治
始まったばかりの介護が日常に変わりつつあり手抜きも覚えて(藤沢市)遊佐 英利
だれのこと?実体験?と探られるせいで廃れてゆく相聞歌(上尾市)関根 裕治
ひとりだと歌い踊りもするのだがエレベーターには監視カメラが(枚方市)久保 哲也
囲ひ網破りてキヨンが平らげし明日葉畑にしばしの啞然(東京都)大村 森美
スカウトの目つきになって球児らの攻守をチェックしている小五(金沢市)竹内 一二
☆昼休みときどき物理の先生は理科室でキムチ鍋をしている(奈良市)山添 葵
【評】第一首、転勤の季節。さまざまな思いをだいて、多くの人が新しい任地へ引っ越してゆく。第二首、集合写真撮影の場面をクローズアップして、うまい。植物観察の会とあった。第三首、樹木葬に取材した短歌をはじめて見た。
高野公彦選
馬場さんが選んだ一首君は今…