朝日歌壇選者の(左から)永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん=東京都中央区、小林一茂撮影

 4月21日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は高野公彦さん、永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さんです。☆印は共選作です。

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高野公彦選

 大銀杏(おおいちょう)結えぬ青年けが押して大阪制す「よぐ、けっぱった」(東京都)椿  泰文

 宗教は人の心を救いつつ〈正義〉のために肉体を撃つ(大洲市)村上 明美

 キョン除けの網で囲ひて明日葉(あしたば)の収穫もどりしわが家の畑(東京都)大村 森美

 次々と「裏金」の記事目に入り古新聞を縛る苛立ち(気仙沼市)大崎 泰史

 近未来的アトラクションの雰囲気で吸い込まれゆくMRI(奈良市)山添 聖子

 手を合わせプールへ深き礼をする五輪出場決めし璃花子は(観音寺市)篠原 俊則

 足湯にて見知らぬ人と話すのは相撲の熱海富士関のこと(町田市)山田 道子

 梅一気さくら開花は一呼吸楽しみ数多(あまた)今年の春は(川崎市)杵渕 有邦

 散歩道の空き家は三軒閉ざされた雨戸の奥の消えた日常(本庄市)田中 礼子

 あの頃の母は六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)大人の世界かい間見(まみ)育つ(東京都)鈴木ひろみ

 【評】一首目、先日の大阪場所で優勝した五所川原市出身の若き尊富士を讃(たた)える。津軽弁を引用し、生き生きとした歌になった。二首目、宗教の偉大さと怖さ。三首目、小型の鹿に似たキョンは可愛いが農作物に被害を与える。作者は大島在住。

永田和宏選

 遠ざかりまた遠ざかりゆくも…

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