7月14日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、馬場あき子さんです。☆は共選作です。
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- 【7/31まで「お題」募集】木下龍也さん×記者サロン「あなたのために詠む短歌②」
佐佐木幸綱選
そこがいい?じっと動かぬ竿の端蛙をよけて洗濯物干す(岡山県)小林 和恵
「お手洗い」の表示の上に子つばめのすまして座る朝の改札(枚方市)唐崎 安子
声荒げ話をする友居なくなりますます老いは寂しき荒野(江田島市)和田 紀元
故郷での同級会終え帰京して余韻に浸る満員電車(東京都)倉田真由美
歌壇への投稿一度も載らざりき夫知らぬ顔我も知らぬふり(加西市)佐伯 幸子
ストレスがないパパがいる家なんてあるんだなあと読む今朝の歌(塩尻市)手塚万智子
山仲間ひとりふたりと減ってゆき遠く眺める石鎚の山(松山市)西本 千尋
燕飛ぶ商店街にチンドン屋美しき天然の唄繰返す(柏市)藤嶋 務
半額の弁当なのに定価分きっちり上がる血糖値かな(佐野市)阿部 忠雄
泥酔の恥を濯げるはずもなく呻きつつ朝のシャワー浴びおり(横浜市)黒坂 明也
【評】第一首、物干し竿(ざお)に蛙(かえる)がいても全く驚かないのがポイント。第二首、改札口近くの洗面所の入口(いりぐち)上の燕(つばめ)の巣。「すまして座る」が楽しい。第三首、「老いは寂しき荒野」に実感がこもる。第四首、東京の「満員電車」に場をとって成功。
高野公彦選
雲水(うんすい)のつましき…