9月14日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は高野公彦さん、永田和宏さん、川野里子さん、佐佐木幸綱さんです。☆は共選作です。
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高野公彦選
穏和、緩和、平和、和解と和の熟語考えていたら涙零(こぼ)れた(坂出市)吉田百合子
真珠湾は十二月七日原爆は八月五日のアメリカで黙禱(アメリカ)大竹幾久子
原爆ドーム掲げる新聞キオスクに並びてパリの八月六日(フランス)佐久間尚子
家の作りこれでいいのかこの猛暑兼好法師にいちど訊(き)きたい(宇都宮市)手塚 清
旧型の市電をふたつやり過ごし冷房付きの新型を待つ(札幌市)田巻 成男
離乳食刻みし手なり今夫の介護食材みじんに刻む(下野市)若島 安子
大戦でホロコースト受けし民族の子孫が向かうヨルダン川西岸(五所川原市)戸沢大二郎
店員にスマホが達者と褒められて「老人枠の人」と自覚す(三原市)池田 桂子
☆怖そうな群馬の女になっている初めてマムシを殺(あや)めし朝は(安中市)岡本千恵子
廃線のホームにひとの影はなく猿の親子が夕日にすわる(西条市)村上 敏之
【評】1首目、世界平和の熱い願いが伝わってくる。2首目と3首目、世界のどの国にも過去の戦争への意識は強く存在するようだ。4首目、徒然草の第五十五段にある「家の作りやうは夏をむねとすべし」という言葉を踏まえた作。
永田和宏選
こんなもの買う人なんている…