9月7日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、川野里子さんです。☆は共選作です。
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佐佐木幸綱選
終演後テントを囲む小屋に点(つ)くサーカス団員の部屋の灯り(名古屋市)百々 奈美
塚ちゃんは心やさしき中学生「栃大海(とちたいかい)」と相成りました(越谷市)小沢紀美子
「縄跳びが出来る長さ」の感想は褒めているのだ青大将よ(枚方市)久保 哲也
朝イチのバスに乗る吾に弁当を持たせ続けた病む妻の朝(春日市)横山 辰生
どの局のどのドラマにも母がゐる母を亡くした孫と観てをり(愛媛県)八木久美子
鶏殺す司厨(しちゅう)兵士の父なりし戦後一度も鶏を喰はざり(神戸市)横井 司
お盆にて席もまばらな学童に送っていく朝道草多め(朝霞市)小峰 拓朗
帰り際窓拭くように手を振れり余命知らずや病室の母(常陸太田市)鈴木 盛雄
ラーメンの出前の如くノーベル賞注文しちゃう米大統領(福島市)安斎真貴子
亡き父のレンタルベッド返却し車座で呑む初七日の夜(宇治市)濱岡 学
【評】第一首、サーカス団員たちの小屋をうたって独特の一首にしあげた。第二首、十両・栃大海は作者の教え子だという。中学時代「塚ちゃん」と呼ばれていたらしい。第三首、日本本土にいる蛇のなかで青大将はもっとも大型だという。
高野公彦選
広島で正田篠枝(しょうだし…