Smiley face

 「ジャパン・ブリッジ」。日本政府の途上国援助(ODA)で造られ、ミャンマー最大都市ヤンゴンで市民にそう呼ばれる橋が今月、開通した。渋滞の緩和が見込まれる一方、2021年の政変で国内情勢は一変。新たな橋に期待されてきた経済効果にも疑問符がついている。

 開通した8日、茶色く濁るバゴー川にかかる橋を多くの車が行き交った。

 運転手の男性(37)は「安定感があってスムーズに走れる」と笑顔を見せた。橋をケーブルで支える塔には「ミャンマー・日本の協力により建設」との刻銘がある。事業に関わったミャンマー建設省の男性職員(45)は「やっぱり日本製は質や信頼度が違う」と満足げだ。

開通初日の第3タンリン橋。片側2車線で、渋滞の緩和が期待されている=2024年6月8日、ミャンマー・ヤンゴン、笠原真撮影

 橋の名は「第3タンリン橋(新バゴー橋)」。日本・ミャンマー両政府が16年、約310億円の円借款供与に合意し、19年に建設が始まった。バゴー川が隔てるヤンゴン中心部と東部タンリン郡区をつなぎ、国営紙などによると全長約2・6キロ。片道2車線で荷重制限は75トンと、重量車両も通行可能とされる。

写真・図版
ヤンゴンと第3タンリン橋の地図

 バゴー川の「タンリン橋」は他に二つある。「第3」の隣に並行して架かる「第1」は1993年に中国の援助で開通した。「第2」は市街から離れており、最も利用者が多いのは第1だ。

 ミャンマーは旧軍事政権下で…

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