記者会見に臨む木原稔防衛相(左)=2024年5月10日午前9時、国会内、里見稔撮影

 海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローンで空撮したとみられる動画がSNSで拡散した問題で、木原稔防衛相は10日の閣議後会見で「我が国の防衛に重大な支障を生じさせかねない。極めて深刻に受け止めている」と語った。探知困難な無人機に対応するため、より能力の高いドローン対処機材の早期導入や電波妨害による強制着陸といった取り組みを強化する考えを示した。

 木原氏は発覚当初の4月2日の会見で「フェイク動画」の可能性を示唆していた。この日の会見では、当時の発言について「我が国に対する悪意を持った影響力行使の活動の一環として、加工・捏造(ねつぞう)の可能性を含め、慎重に分析を行う必要があった」と説明した。ロシアによるウクライナ侵略や、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突を例に挙げ、「国際社会では、偽情報の流布により他国の世論や意思決定に影響を及ぼすことを目的とする情報戦に焦点が当たっている。情報戦対応は我が国防衛を万全とするために不可欠な取り組みだ」とも語った。

 動画は横須賀基地(神奈川県)に停泊中のいずもをドローンから撮影したとされる。3月に中国の動画投稿サイト「bilibili(ビリビリ)」に投稿され、その他のSNSにも拡散された。防衛省は9日、分析の結果、動画は実際に撮影された可能性が高いと結論づけた。(里見稔)

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