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米航空宇宙局(NASA)の木星探査機ガリレオが撮影した木星の衛星エウロパ。全体が氷殻で覆われている=NASA/JPL-Caltech/SETI Institute

 木星の衛星エウロパを覆っている氷の厚さが、少なくとも20キロにおよんでいることがわかった。米パデュー大の脇田茂研究員(惑星科学)らが、国立天文台のコンピューターでシミュレーションを重ねて突き止めた。氷の下にある液体の海に生命が存在するのかを探る手がかりにもなりそうだ。

 エウロパは木星の衛星の一つで、17世紀にガリレオ・ガリレイが発見した。直径3130キロと月よりわずかに小さく、表面は分厚い「氷殻」で覆われている。その下には液体の海があるとみられ、生命が存在しているのではないかと注目されている。

 氷殻の厚さや構造については、小さな天体の衝突でできた小ぶりなクレーターを解析することで推測してきた。ただ、衝突の影響を受けるのは氷殻の表層近くに限られるため、厚さや構造の全体像はわかっていない。

写真・図版
木星の衛星エウロパの大きなクレーター「多重リング盆地」は、かつて大きな天体が衝突した際にできたと考えられている(想像図)=Brandon Johnson generated with the assistance of AI.

 今回、脇田さんらはエウロパの表面に二つある「多重リング盆地」という大きなクレーターに注目した。直径はそれぞれ33キロと38キロ。この盆地ができるような天体の衝突をコンピューターで再現することで、より正確な氷殻の厚さや構造がわかると考えたのだ。

 氷殻の厚さや構造、衝突した…

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