木造土壁の蔵に並ぶ「蔵出しみかん」が入った木箱=2025年1月24日、和歌山県海南市、筋野健太撮影

 全国的な不作でミカンの価格が高騰する中、和歌山県海南市の下津地域で、400年以上の歴史がある「蔵出しみかん」の出荷が進んでいる。

 木造土壁の蔵で、12月に収穫したミカンを木箱に入れ、1カ月以上寝かせる。収穫したてと比べ、甘みと酸味が一体となったまろやかな口当たりになるという。

 JAながみね・しもつ営農生活センターによると、収穫が早い早生(わせ)ミカンは今期、全国的に酷暑による日焼けやカメムシ被害で不作だった。一方、「蔵出しみかん」にする晩生(おくて)ミカンは大きな被害を受けず、例年よりやや少ない約3千トンの出荷を見込む。3月上旬にかけ、主に大阪、新潟、東京、北海道へ出荷される。

 農家は扉の開閉で蔵の環境を調整し、温度8~10度、湿度を低めに保つ。ミカンが傷まないよう、木箱や中の位置を頻繁に入れ替える。

 同センターで営農指導をする土谷賢太郎さん(38)は、「昔から下津地域はミカン畑を中心に、人間や動物、昆虫、雑木林などが絶妙なバランスで共生してきた。さらにミカンの価値を高め、後継者を呼び込み、環境や町の文化、風習を守っていきたい」と話す。

木造土壁の蔵に並ぶ「蔵出しみかん」が入った木箱=2025年1月24日、和歌山県海南市、筋野健太撮影
木造土壁の蔵に並ぶ「蔵出しみかん」が入った木箱=2025年1月24日、和歌山県海南市、筋野健太撮影

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