鳥取県立美術館が3月30日、同県倉吉市に開館した。県立美術館としてはほぼ最後発。開館記念展では、高額購入への賛否が分かれたアンディ・ウォーホルのポップアートの作品が同館で初公開され、開館前日には「ほんとに美術館って必要なの?」と題したシンポジウムもあった。
倉吉市は鳥取県のほぼ中央に位置し、美術館は山陰最大級の寺院跡・大御堂廃寺跡に隣接する敷地に建てられた。
騒動となったブリロ・ボックスを初公開
開館記念展の「アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術」では、ウォーホルの「ブリロ・ボックス」(ブリロの箱)に、来館者の注目が集まった。1964年に発表されたこの作品は、アメリカで販売されている食器洗いパッドの化粧箱を精密に模倣したもの。木製の箱にシルクスクリーンで印刷した作品で、現在ではウォーホルの代表作の一つとして評価されている。だが、鳥取県内では5点で約2億9千万円という購入費に対して「3億円の価値があるのか」と疑問視する声が上がっていた。
尾崎信一郎館長は「大きな騒ぎになったのは、鳥取に県立美術館が無く、ウォーホルの作品についてよく理解されていないことが大きいと思う。展示では実物を見せるだけでなく、どのようにしてこの作品が制作されたのかを理解してもらえるようにした」と話す。
ほぼ最後発、悲願の県立美術館
第3章「日常と生活」に、ウ…