宮城県の大崎市民病院が医師や看護師ら1千人超に時間外勤務手当を適正に支給していなかった問題で、病院は22日、未払いの8億円超について、3年間で分割支給する方針を明らかにした。1回目の支給は来年3月。2026年度までに全額を支給する。
同日あった市議会民生常任委員会で病院が説明した。病院幹部は「より多くの対象職員に対して早期に支給したい」と説明。一定の支給金額までの対象者には、今年度中に一括して支払うことを検討する。
ただ、その一定の金額が、いくらなのかについては「数万円あるいは数十万円なのか、これから説明会などで職員から意見を頂き、理解を得ながら進める」とした。
病院はこの日、未払いとなっている金額や対象者の詳細な内訳も公表。未払いの総額は8・2億円で対象者は1373人(うち退職者は376人)。職種別では医師が303人(同217人)、看護師が740人(同111人)、医療技術職が231人(同21人)、事務が99人(同27人)だった。金額では医師への未払い分が8億円を占める。12月補正予算に8・2億円を特別損失として計上する予定だ。
病院は昨年2月、時間外勤務手当を適正に支給していないとして、古川労働基準監督署から是正勧告を受けた。時間外勤務手当を算出する際、医師確保のための手当などを基礎賃金に含めていなかったためで、20年3月にさかのぼって不足額の支給を求められた。
病院が積算したところ、是正勧告による未払いの総額は約10・5億円に上った。病院はこのうち約2・3億円を支給したが、残る8億円超は経営状態が悪いなどとして支給していなかった。(中島嘉克)
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