高川学園―未来富山 二回裏未来富山1死一塁、内藤の同点の適時二塁打で生還する松井清=新井義顕撮影

 (11日、第107回全国高校野球選手権2回戦 高川学園8―5未来富山)

 4打数3安打。「自分が塁に出てチームを勢いづかせたかったが、うまく打線がつながらなかった。相手が上でした」。試合後、未来富山の松井清吾主将は悔しそうに話した。

 キャプテン像に悩んだ1年だった。小中学校時代からキャプテンを務め、高校でも新チームでまとめ役を任された。

 出身は横浜市。中学生の頃は成績も良かった。でも、「寮生活をしたく」て富山県魚津市へ。はっきり意思表示する性格で、先輩でも掃除をサボれば、「自分がやらないのに後輩に指示するのか」と遠慮なく指摘した。そんな性格に角鴻太郎監督も信頼を置いた。

 昨夏の富山大会でチームは準決勝で敗れたが、先発メンバーの多くが残った。自分もその一人で、甲子園に手が届きそうなところまで来た。なのに、チーム状態が上がらない。昨秋、今春と3回戦負けを喫した。「どう選手をまとめればいいのか」と悩んだ。

 悩みを解消するため、自らを振り返ろうと思った。小中学校時代の友人に連絡し、自分がどんな主将だったのか、どう見えていたか、尋ねた。結論は「指示を出す前に自分が動くこと」。

 さらにチームが変わる出来事があった。4月にエース・江藤蓮がU―18日本代表候補の強化合宿に参加したことだ。トップレベルの選手が、どんな意識で練習しているか。「江藤は、それをチームに浸透させようとしてくれた」。

 春の県大会敗戦後、自身を中心に3年生が「どうしたら勝てるか」「野球の神様が見ているから、私生活を見直そう」と話し合った。角監督は、「優勝の最大の功労者」と話した。

 甲子園のグラウンドには立てたが、敗戦。勝てなかったことは悔しいが、「2年半、やってきたことは無駄ではなかった」。野球は高校までと思っている。将来はイベント企画の仕事に就きたいと語る。勉強は嫌いではない。これから進学に向けて机に向かう。

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