札幌市円山動物園は6日、絶滅危惧種のマレーグマの姉弟2頭の寄贈を台湾の台北市立動物園から受けると発表した。両園が、動物の交換などに関する覚書を結んでいることから実現した。引っ越しは年度内の予定という。
やってくるのは、ともに2007年生まれのメス・小熊妹(シャオションメイ)とオス・熊覇(ションバー)の姉弟。円山ではマレーグマの飼育実績が通算56年あるが、2023年にオスの「ウメキチ」が繁殖をめざして徳山動物園(山口)に転出してからは「不在」の状況が続いていた。
マレーグマの国内飼育は8園館14頭と、この10年間で半減している。
林紘太郎・飼育展示担当係長は、遺伝的多様性を保ちながら飼育個体群を維持することが「危機的状況になっている」とした上で、「海外から新たな血統の個体を導入することは大変貴重な機会だ」と述べた。
将来的には、国内の園や館から別の個体を迎えたり、逆に姉弟のどちらかを送り出したりして、国内での繁殖にも取り組みたいという。
円山のマレーグマをめぐっては2015年、不適切な飼育により、メスの「ウッチー」が死ぬ事故が起きた。
姉弟の受け入れをめぐり園側は「動物福祉に配慮し、緊張感をもって、より良い環境で暮らせるよう努める」と強調。展示に向け、舌が長く、木の上で過ごすことも多いという特性や、野生のマレーグマが密猟などで脅かされている背景なども感じてもらえるよう、準備を進めたいとした。