ごみ焼却で発電された電力で地下鉄を動かす――。
札幌市営地下鉄でこんな試みが始まっている。今年度は、全線で消費する電力が「100%ゼロカーボン」となる見込みだ。
市環境局によると、市内には三つの清掃工場がある。それぞれ、ごみを焼却する際に発生する熱で高温・高圧の蒸気を作り、その蒸気でタービンを回して発電する仕組みを備えており、施設で使ってきた。
昨年度からは、余剰分の電力を北海道電力を介して地下鉄3路線(東豊・南北・東西線)に供給する取り組みを開始。1年間で約1億2千万kWhにのぼる3路線の消費電力量の約7割をまかなってきた。
今年度は、更新工事をしていた駒岡清掃工場の本格稼働で発電量が増えるため、地下鉄の運行にかかるすべての電力をまかなうことが可能に。二酸化炭素の削減効果は、年間約6万4千トン(一般家庭約1万6千世帯相当)という。
札幌市は、2050年までに市内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする、いわゆる「ゼロカーボンシティー」をめざしている。「地産地消」の電力で地下鉄全線を運行する事例は、全国初という。
環境局の担当者は「毎日出るごみと、日々使う地下鉄。市民生活に身近な取り組みを通じて脱炭素化を進めたい」と話している。