韓国大統領選の投開票日当日、李在明氏の当選有力が伝えられ熱狂する支持者ら=2025年6月3日午後11時40分、ソウル、河野光汰撮影

 3日投開票された韓国大統領選で、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)候補が、保守系与党「国民の力」の金文洙(キムムンス)候補らを破り、当選した。今回の選挙は尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領による非常戒厳の是非や経済問題に関心が集まったため、韓国や日本で今後大きな課題になりうる「米韓同盟再定義」「米朝国交正常化」について議論する機会を逃した。李氏は日本とも協力する姿勢を示しているが、具体的な協力方針を打ち出すには至っていない。

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 保守系の韓国政府元高官は「保守にとって今回は非常戒厳という原罪を背負った選挙。当初から勝利を度外視していた」と語る。尹氏の弾劾(だんがい)に反対していた金氏を候補にしたのも、同氏には次期執行部入りを狙うほどの党内基盤がなく、来年の統一地方選や2028年の国会議員選挙での公認権を握りたい現執行部と利害が一致した結果だという。こうした選挙戦の結果、保守は得票を大きく減らした。首都圏での得票も伸びず、「国民の力」は今後、慶尚道など半島南東部だけを地盤にした地方政党に転落する危機を迎えた。

 李在明氏ら進歩陣営も有権者の支持獲得を目指すため、経済政策やAI(人工知能)産業など未来を期待できる政策に発言を集中させる一方、「反日」や、公選法違反などの裁判を抱える「政治疑惑」などの負のイメージの払拭(ふっしょく)に注力した。地域の同盟国に更なる負担を求める米国や、韓国を敵視する北朝鮮との関係についての突っ込んだ議論は避けた。

様々な「怒り」が渦巻いた大統領選

 経済や暮らしをめぐっては今…

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