コンテンツ編成本部デスク・吉村千彰
読書は好きだけど作文は苦手だった。記事もウンウン言いながら書いてきた。作家の取材はいつも目をひらかされる。的確な言葉をくれる。語彙(ごい)の宝庫。規定字数に収めるのはひと苦労だが。
平成末に、朝日新聞は識者120人に時代を代表する本について調査した。1位は「1Q84」、10位に「ねじまき鳥クロニクル」。作者の村上春樹さんに時代と作品を振り返ってもらった。
「本当は書評は見たくない」
開口一番、「本当に1位なんですか」と村上さん。その後も「それにしても不思議だなあ」と、ぼそり。私が書評担当(当時)と名乗ると、笑いながらも「健康のために、本当は書評は見たくないんです」と明かした。実は、気に病むタイプなの⁉ 「1Q84」も「ねじまき鳥」も、刊行当初は批判もあったので、「年月がたつと褒める人もでてくるんですね」とほほえんでいた。
(取り上げた文章へのリンクが文末にあります)
聞きにくいことも聞くのが仕…