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野生復帰10周年を祝い、放鳥され飛び立ったトキ=2018年10月15日午後0時4分、新潟県佐渡市、角野貴之撮影
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 能登地域で検討していた国の特別天然記念物トキの放鳥場所が16日、石川県羽咋市南潟地区(邑知潟(おうちがた)周辺)に決まった。餌場となる水田の面積が十分にあり、最適地と判断された。来年度、15~20羽を放鳥する。

 環境省が今年2月、能登地域での放鳥を決定。県と能登9市町、関係団体で作る「能登地域トキ放鳥受入推進協議会」が、各市町にモデル地区を設け、水田にトキのエサとなる生き物を定着させるための環境整備を試験的に進めてきた。南潟地区もモデル地区の一つだ。

 トキの定着を図るうえで重要となるのが群れの形成。その観点から評価項目をつくり、専門家による現地確認が実施されてきた。

 その結果、すべてのモデル地区で、エサとなる生物の生育は佐渡(新潟県)と比較して遜色なく適地とされたが、そのなかでも南潟地区が高く評価され、最適地と判断された。

 この日開かれた協議会では、放鳥場所について県の提案が承認されたが、参加者からは、2回目以降の放鳥についてや、羽咋市南潟の隣接地の整備などについて質問が出された。

 馳浩知事は「被災地にとってトキの放鳥は朗報。習性を踏まえ、気をつけることの周知や機運の醸成などをし、安定的な定着に向けて取り組んでいきたい」と話した。

 県のトキスーパーバイザーを務める羽咋市の村本義雄さん(100)は「南潟地区は、広い水田があり、(食性が似ている)サギやコウノトリがエサをあさりに来ているのを目にするが、トキも果たして餌場として認め、近くに巣をつくってくれるか気がかりだ」と話した。

いしかわ動物園の繁殖、今年は7羽巣立ち

 いしかわ動物園(石川県能美市)を含めた全国7施設で飼育されているトキの今年の繁殖は、22ペアから43羽が孵化(ふか)し、このうちの38羽が巣立った。この結果、トキの総個体数は168羽となった。佐渡トキ保護センター(新潟県佐渡市)が15日に発表した。

 いしかわ動物園では3ペアが繁殖に取り組み、7羽が孵化し、巣立った。子育て中に成鳥1羽が死んだ。現在、成鳥とヒナを合わせて計12羽が飼育されている。

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