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教室のワークショップで、故郷ネパールの村にあった建物を描くプジャ==2024年3月21日、大阪市生野区、玉置太郎撮影
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 高校受験のサポートはIKUNO・多文化ふらっと(大阪市生野区)の活動の柱だ。来日生徒にとって日本語での試験そのものに加え、日本の受験制度を理解する難しさもある。

 今春は教室に通う17人が、高校入試に臨んだ。

 大阪府には、小学4年以上で来日した子が対象となる特別入試がある。受験科目は英語、数学、母語作文。府立8校に枠があり、全国的にみても進んだ制度だ。

 ただコロナ禍の収束から来日生徒が年々増え、今春は計126人の枠に162人が志願。特に東淀川高は2倍を超えた。ふらっとでも東淀川高を不合格となり、2次募集で別の高校へ進んだ子がいた。

 ネパールから2年前に来日したカンデル・プジャ(16)も今春、特別入試で受験した。故郷は、山間地に段々畑が連なる小さな村だという。

ネパールから来日し受験

 父親は今、ネパール料理店で働くが、同様にコックとして来日するネパール人家族は、教室でも全国でも増えている。

 プジャは当初、中学で先生が話す日本語が全く分からなかった。ふらっとでは職員の金和永(きむふぁよん)(34)が1年間、主に数学を教えた。英語による説明も交え、入試の過去問に取り組んだ。

 プジャについて「ストイックなほど熱心でした」と振り返る金。同郷の友達が談笑している間も、プジャは黙々と問題集に向かっていた。2月の合格発表。金のもとに「ごうかくできました」「1年めっちゃがんばった」というメールが届いた。

 金を「とってもやさしい、私の大好きな先生」と慕うプジャ。進学後も休まず通い、日本語検定の勉強に変わらぬ熱心さを見せる。夢は故郷の開発に携わるエンジニアだ。

 近年、来日生徒の受験支援で鍵になっているのが、「ダイレクト」という言葉だ。母国で中学を卒業して来日したため中学へ編入できず、自力で高校入試に挑むことを指す。

日本の中学を経ずに受験、どう支える?

 大阪府教育庁によると今春、来日生徒向け入試を受けた162人のうち、ダイレクトは48人。市民が開く教室などで支援を受けるケースが多い。

 多文化ふらっとは3月、ダイ…

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