町村敬志さん

 「東京は均質化して、つまらない街になってしまった」「高くて寄りつけない再開発拠点ばかりだ」――。こんなぼやきが聞こえる背景に何があるのでしょうか。「東京23区における超高層ビル建築のピークが、経済の好調期ではなく2000年代の停滞期だったわけに注目してみましょう」。都市研究で知られる社会学者の町村敬志さんはそう語ります。

一度は夢見た「世界都市」

 東京は近年つまらなくなってきた――。中高年世代の方々を中心に時折そんな声が聞かれます。あちこちで似たような高層建築や再開発事業が行われ、均質化が進んでしまった、と。

 東京は「世界都市」への夢を一度は抱いた街です。高度成長からバブル経済までの時期には、ニューヨークやロンドンのようになろうという夢が語られていました。しかしバブルの崩壊で、その夢はついえました。

 それ以降の東京は、少子化の進行もあって、都市システムの解体期に入っています。拡大する経済を支える拠点として都心を改造し、戸建て住宅を持つという夢で人々を郊外に動員する。そんなシステムが機能しなくなったのです。

 街の風貌(ふうぼう)を変えるような超高層ビルが最も多く建てられたのは今から20年ほど前、2002~07年ごろのことです。高度成長期やバブル期にも見られなかった勢いで、タワーマンションなどが増えたのです。

なぜ経済「停滞期」に高層ラッシュが

 要因は、バブル崩壊の後始末…

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