異なる立場や少数派の人たちを攻撃する排外的な言葉が、国内外で飛び交っている。外国人への偏見や差別もその一つだが、そんな時代をとらえたドラマ「東京サラダボウル」(NHK、火曜夜10時)が4日夜に最終回を迎える。

 東新宿署・国際捜査係の警察官・鴻田麻里(奈緒さん)は緑色の髪がトレードマーク。様々な国の料理を食べながらコミュニケーションを図り、日本人も外国人も隔たりなく、手を差し伸べていく。鴻田とバディのような警視庁の中国語通訳人・有木野了(松田龍平さん)は、過去に秘密が……。この2人の目線で、異国に生きる人々の葛藤を描く。最終回を前に、制作統括を務めたNHKエンタープライズの家冨未央さんに話を聞いた。

ドラマ「東京サラダボウル」から。東新宿署・国際捜査係の警察官・鴻田麻里を演じる奈緒さん=NHK提供

 ――原作は黒丸さんの同名漫画ですが、どのような経緯で映像化しようと思ったのでしょうか。

 私の半径3メートルの生活圏内で起きていることが出発点です。東京の街を歩いていても、外国人の方が非常に増えたという実感がありました。私のパートナーはブラジル人で、サンパウロで生まれ育ちました。私自身、小学校でPTAの仕事をしていますが、全て日本語で書かれた資料を目にして、もし私が外国籍の母親だったらパニックになるだろうと想像しました。もう少し寛容な社会になったらいいな。そんなことをドラマを通じて、そこはかとなく感じ取ってもらえればと思いました。そんな時、黒丸さんの素敵な原作漫画に出会って、映像化を進めました。

 ――日本のテレビドラマは外国にルーツを持つ人があまり出演していない印象を持ちます。そのような問題意識はありましたか。

 もともと海外作品が好きでよく見ています。米ハリウッドでは、女性や有色人種、性的少数者、障害者などマイノリティーの人々が作品に関わる仕組みが作られるようになりました。そして、それが自然に物語とリンクするようになった。でも、日本にいる自分はどうなのかと、2、3年前から強く意識するようになりました。当然ですが、私の周りにいる人は日本人だけではない。日本のドラマを見た時に、人種や言語で線引きされているように感じることがあり、それに寂しさを覚えるようになったこともあります。

異なるものがなぜ一緒に存在しているのか

 ――各話の中で、同じ国籍でも異なるバックボーンを持つ人物が登場し、二つの事件が並走しました。また、各話ごとのタイトルも、「サソリと水餃子(すいぎょうざ)」、「赤ちゃんとバインミー」などと異なる二つのものを並べています。何か狙いはありましたか。

 人物構成とタイトルは、理由…

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