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議会で答弁する世田谷区の保坂区長=2025年3月21日午前10時24分、東京都世田谷区世田谷、中村英一郎撮影

 東京都世田谷区の保坂展人(のぶと)区長は21日、太平洋戦争中に空襲で被害を受けた民間人らに独自の支援を検討する意向を明らかにした。見舞金などが候補になるとみられる。民間の戦災者は国の補償の対象外で、支援を求める動きが出てきている。

 議会で、上川あや区議の質問に答えた。上川氏は「政府は民間の戦争被害者に対し原爆被害者など一部を除き、救済の手立てを講じてこなかった。救済の機運を高めるために、見舞金創設などを求める」として、区の見解を求めた。保坂氏は「今年は戦後80年。世田谷として、どのような支援があり得るのか、検討に着手する」と応じた。区は今後、専門家の意見を聞くなどして、支援を検討していくという。

 政府はこれまで基本的に、民間人の戦争被害を補償の対象としない一方、軍人・軍属らに総額60兆円を補償してきた。そのため、岐阜、浜松市など一部の自治体は、独自に民間戦災者に見舞金を払ってきた。2010年度に見舞金の制度を始めた名古屋市では現在、1人当たり年10万円支給している。国会でも、超党派の国会議員連盟が民間戦災者の救済法案を検討している。

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