【動画】奥多摩町の多摩川沿いに、古民家を改装したホテルがフルオープン。部屋から一望できる渓谷美が魅力だ=2025年5月20日、東京都奥多摩町棚澤、中山由美撮影

「さとローグ」の客室=2025年5月20日午後0時50分、東京都奥多摩町棚澤、中山由美撮影

 東京都奥多摩町の多摩川の渓谷に、空き家だった古民家を改装したホテル「さとローグ」が25日、全面開業する。地域とひとつになれるホテルに――。東京にありながら、自然豊かな奥多摩の魅力を生かし、町ににぎわいや元気を取り戻すことも狙う。

 関係者らへの説明会が22日にあった。

広さ約35平方メートル、白壁の4部屋限りの客室

 1年前に先行して開業したレストランとサウナ棟に続いて完成したのは、ツインルーム4室の宿泊棟。広さ約35平方メートルの白壁の客室はヒノキの香りが漂う。天井はアーチ状で、繭に包まれるような柔らかい雰囲気を演出。テラスに出なくても部屋やバスルーム、レストランから渓谷が一望できる。

 山里ならではの食や体験も楽しめる。食事では地元で養殖されているヤマメをはじめ、周辺で育てている治助イモ、ウドなどの野菜や和牛などが出てくる。特産のワサビの収穫・試食体験ツアーなどもある。ホテル敷地内でもワサビ田や農園で土いじりができるほか、アカハライモリなど、この地域の生き物がすみついたビオトープもある。

地域全体が一つのホテル

 さとローグの語源は、里と英語の「logue(語るの意味)」。JR東日本と地域おこし事業を手がける「さとゆめ」の共同出資会社「沿線まるごと」が運営する。さとローグ総支配人の秋山拓実さん(35)は「地元の野菜を食べてもらうことで農家の人も笑顔になる。宿泊したら敷地の外へ出て、たくさんのものを見ていってほしい」と話す。

 ホテルが立つのは、奥多摩町を東西に走る青梅線(東京アドベンチャーライン)の鳩ノ巣駅から歩いて約20分の場所。急いでホテルに向かわずとも、道中から見渡せる山並みや古民家の集落などが目を楽しませてくれる。「地域全体を〝一つのホテル〟に見立てる」という、沿線まるごとのコンセプトを示す景色が広がる。

■1泊5万5千円も、滑り出し…

共有
Exit mobile version