【動画】空襲体験ギャラリートークで話す真野和雄さん=嶋田達也撮影
東京大空襲から80年となる10日を前に、東京都墨田区の「すみだ郷土文化資料館」で9日、空襲体験者のギャラリートークと、平和を祈念するコンサートが行われた。
体験を話したのは真野和雄さん(94)。14歳だった真野さんは1945年3月10日、現在の両国国技館に近い墨田区横網地区の自宅で大空襲に遭遇した。「空襲警報と同時に焼夷(しょうい)弾が落ちてきた。布団をかぶって近くの隅田川の方に家族と逃げた」という。
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マリアナ諸島から飛来した米軍のB29爆撃機279機が東京都の東部に約1700トンの焼夷弾を投下。火は強風にあおられ、現在の江東、墨田、台東区がほぼ焼け野原になった。犠牲者は10万とも言われるが、いまだに全容は明らかではない。
真野さんは大空襲の4カ月後、疎開先の仙台でも空襲を経験した。
同年7月10日未明、123機のB29が仙台市中心部に焼夷弾を投下。約1400人が亡くなったとされる。
真野さんは、現在の仙台市役所にも近い市街地に疎開していたが、東京大空襲の経験からとにかく逃げようと考えたという。近くに焼夷弾が落ち「東京より仙台の方がおっかなかった」という。
真野さんは「今が一番いいんだよ。平和で街はきれい。徴兵制もない」と話す。若い人たちには「過去を勉強して欲しい。日本を頼んだぞ」とメッセージを残した。