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 全国各地の風物をテーマに着物やのれんなどを精力的に制作し、東北地方にもゆかりが深い染色家・芹沢銈介(せりざわけいすけ)(1895~1984)。生誕130年を記念する展覧会が仙台市内で開かれている。

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人間国宝に認定された頃の仕事を紹介する展示室=仙台市青葉区の東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館

 芹沢銈介は沖縄の染め物「紅型(びんがた)」の影響を受けて「型絵染(かたえぞめ)」の手法を確立。着物、のれん、びょうぶのほか、本の装丁、カレンダー、包装紙、うちわ、マッチ箱といった生活を彩る実用品のデザインも数多く手がけた。

 静岡市出身で東京都内に工房を設けていたが、各地を旅してはスケッチや工芸品の収集を続けた。子どもたちが宮城県内に住んでいた縁もあり、東北地方も度々訪れた。

 東北大や東北福祉大の教授を歴任した長男・長介氏(2006年逝去)は父について「東北地方の風土を、そして古い伝統の息づく雪国の人と文化をこよなく愛していた」とつづっている。鳴子温泉をはじめとした温泉場で骨休めをし、仙台では定禅寺通や青葉通のケヤキ並木を散歩するのが好きだったという。

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「杜の都」を象徴する定禅寺通りのケヤキ並木=仙台市青葉区

仕事の変遷伝える「ベスト盤」の展示構成

 その長介氏が初代館長を務め…

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