167校152チームが参加した第107回全国高校野球選手権大阪大会は、東大阪大柏原が14年ぶりに制して、幕を閉じた。熱戦を振り返る。
成長束ね、甲子園へ
7月27日の決勝で大阪桐蔭と対戦した東大阪大柏原の竹本歩夢主将(3年)は、「昨夏の王者に対し、挑戦者の気持ちで臨んだ」という。
日頃の練習で多くの時間を割いてきたのは守備。その成果が生きた。計7試合で4失策と堅実な守りで、準々決勝、準決勝、そして決勝の1点差の勝利を呼び込んだ。
選手たちは春先から「チームが勝つために」との意識を高めて練習に向き合ってきた。打撃フォームを変えた藤原颯大選手(3年)は大会を通じた打率を5割超とし、上田留生選手(3年)は9盗塁を決めた。6人の投手で、全試合を継投した。個々の成長を束ねて、甲子園への道を切り開いた。
大阪桐蔭の粘り
準優勝の大阪桐蔭は、プロからも注目される右腕の森陽樹投手(3年)や主将の中野大虎投手(3年)、左腕の佐井川湧牙投手(3年)ら厚い投手陣に加え、打線が高い得点力を持ち、決勝までの6試合のうち5試合をコールドゲームで勝ち進んだ。
決勝は打線が相手投手陣をとらえきれなかったが、4点差を追いついて延長戦に持ち込むなど甲子園に「あと一歩」のところまで迫った。
サヨナラのスクイズで
昨夏準優勝の東海大大阪仰星は、永山大悟投手(3年)ら左腕が軸の投手陣で勝ち上がり、東大阪大柏原との準決勝では右腕の忠島直希投手(2年)がロングリリーフで粘り強い投球。延長で敗れたが、貴重な経験を積んだ。
2年ぶりの優勝をめざした履正社は、計6盗塁の矢野塁主将(3年)らを中心に機動力を生かした攻撃で、4試合でコールド勝ち。ただ、昨夏にも敗れた大阪桐蔭との準決勝では、中野投手を打ち崩せなかった。
大阪偕星は準々決勝で大阪桐蔭と0―1の接戦。サヨナラのスクイズで敗れるまで投げ抜いたエースの橋本一輝投手(3年)の制球力が光った。
選択の先に
公立で唯一、8強に進んだのが豊中。78年ぶりの準々決勝には約400人が応援にかけつけた。中原健吾主将(3年)が「ずば抜けた選手はいない」というチームで、効率を考えた練習の成果を発揮した。
連合チームの茨木工科・福井・北摂つばさ・箕面東が4回戦まで勝ち上がった。気持ちを一つにしようと、デザインをそろえた新ユニホームで挑んだ大会。単独でも出場できる人数の学校もあったが、「連合の方が勝てる」と考えた選択で、部員数が少ない他の学校にも、新たな可能性を示すような戦いぶりだった。