東日本大震災の巨大地震を起こした地震断層は、いまどのような状態にあるのか――。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」がこの秋、12年ぶりに断層の掘削調査をした。マグニチュード(M)9.0もの巨大地震を起こした断層はどのように作られ、次の地震に向けエネルギーをため始めているのか。千年に一度の地震のメカニズム解明に挑んでいる。
2011年3月11日に起きた東日本大震災は、日本海溝で太平洋プレートに引きずられて沈み込んでいた北米プレートが、元に戻ろうとしてすべることで引き起こされた。断層は、水平に50メートルずれ、鉛直にも10メートル以上隆起した。地震の規模は観測史上で世界4番目の大きさのマグニチュード(M)9.0。断層の長さは南北500キロにも及んだ。
今回の掘削調査に使われた探査船「ちきゅう」は、高さ70メートルの掘削やぐらを持ち、海底下約7千メートルのマントルまで掘れる。これまで東北沖のほか、紀伊半島沖の南海トラフのプレート境界の掘削に挑んできた。
「千年に一度の科学的なテーマを解決」
今回の掘削は宮城県沖の約200キロの地点で9月に開始。国際深海科学掘削計画(IODP)の一環として、日米欧など10カ国の研究者が乗船した。同じエリアの掘削は震災1年後の2012年以来だ。
共同首席研究者を務めるJAMSTECの小平秀一理事は「1千年に一度の科学的なテーマを解決できる重要なプロジェクトだ」と話す。
注目されるのが、地震断層の…