(28日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会決勝 東洋大姫路7―6報徳学園)
東洋大姫路は28日、14年ぶりに夏の兵庫大会を制し、13回目となる夏の甲子園出場を決めた。
試合後、渡辺拓雲主将(3年)は「選抜大会では悔しい負け方をした。夏の甲子園では悔しい気持ちを晴らしたい」と語った。
実力不足――。
今春に出場した選抜大会について、渡辺主将は、そう振り返った。
選抜大会2回戦の広島商戦。中心選手の相次ぐ離脱で、「チーム内に不安が広がっていた」という。
昨秋の公式戦12試合で9完投したエース阪下漣投手(3年)が、1回戦で途中降板。その後、右ひじのけががわかり、登板できない状況だった。遊撃手の高畑知季選手(3年)も体調不良で欠場した。
この日先発した木下鷹大投手(3年)は二回に6失点。そのまま追いつけずにチームは敗れた。
東洋大姫路は昨秋から今春にかけて、試合に出場する選手がほとんど同じだった。岡田龍生監督は、そのことに危機感を抱いていた。「選手間の競争がない。強いチームは、新しい選手が出てくる」
渡辺主将は「選手一人では勝てない。全員が軸になるチームになる」。選抜大会の敗戦を経て、選手たちの間で競争意識が高まっていった。
その後、今まで出場機会の少なかった選手が台頭してきた。
その代表格が木下投手だ。U18(18歳以下)ワールドカップを目指す日本代表候補強化合宿にも招集され、試合を重ねていく中で「経験を積むことができた」という。今夏の兵庫大会では、5回戦の明石商戦で完封するなど成長を続けている。
選抜大会ではベンチ外だった西垣虎太郎投手(3年)、中堅手の木本琉惺選手(3年)も先発メンバーに名を連ねるようになった。
渡辺主将は「あの選抜での敗戦は苦い思い出。ただ、あの日があったからこそ、成長できた部分は大きい」という。
兵庫大会決勝では、木下投手が被安打10ながらも粘り強く投げ、9回6失点で完投。木本選手も犠打でチャンスを拡大させた。
選手間の競争を経た東洋大姫路だからこそ、その先に夏の兵庫大会優勝があった。
選手権大会は8月5日に開幕する。「甲子園の悔しさは甲子園で」。再び東洋大姫路が甲子園にのりこむ。