(20日、第97回選抜高校野球大会1回戦 東洋大姫路7―2壱岐)

 大会屈指の好投手、東洋大姫路の先発だった阪下漣投手(3年)の姿は二回のマウンドになかった。危機を救ったのは昨秋、ベンチに入れなかった背番号11だった。

 二回から木下鷹大(ようた)投手(3年)が登板した。右ひじの張りで降板したエースは制球が定まらず一回に2失点。木下投手は「チームメートが取り返してくれるまで0点で抑えよう」。三、四回は走者を出したが無失点で切り抜けた。

 五回、先頭打者として三塁打を放ち、同点のホームを踏んだ。この回に打者一巡の猛攻で味方が逆転に成功。五回以降、木下投手は最後まで相手打線を無安打に抑えた。「投げられるチャンスをもらえてよかった」と控えめに喜んだ。

 右ひじを痛め、昨秋を棒に振った。けがをしない身体作りのために冬場は毎日30分~1時間、体幹などの筋肉を重点的に鍛えたという。筋肉量も増え、この試合で球速は147キロを計測。力が増した直球を武器に、8回を投げて被安打2の好救援だった。

 投打で大車輪の活躍に、「これまで阪下頼みになっていた。こういう形で阪下を守れて良かった」。東洋大姫路は阪下だけではない。存在感を示した。

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